岸根の家 works外観 2020.06.232023.05.01 所在地:神奈川県横浜市構 造:木造住宅 地上2階建て床面積:95.65m² / 28.98坪設計期間:16/05 – 16/12工事期間:16/12 – 17/05施 工:後藤組+マルナカホーム撮 影:テクニカルアート(樽井洋治) 【周辺環境】 近くには都市公園にも指定されている岸根公園があります。「岸根」の地名が指すとおり縄文時代には海湾に面した岸辺の丘陵地だったようです。 坂のうえに位置し、日当たり・眺望に恵まれた立地でした。同時に、ひな壇造成による宅地であったため、道路から1.5mあがった高さに敷地がありました。そのため、道路に沿って全面擁壁となってしまい駐車スペースをつくれない状況でした。 そこで、敷地の道路側半分を道路の高さまで下げ駐車スペースを確保しつつ、敷地の段差を利用したスキップフロアの住宅を計画しました。 900mmのスキップフロア 【空間構成】 スキップの高さは900mm(※1)としています。これはスキップの高さを目線よりも下げることで、段差によって分けられた2つの空間をひとつながりの空間として感じられるようにするためです。この住宅では、プライバシー状の要望から道路側には最低限の窓しか設置していませんが、リビングからテラスまで抜けの効いた開放感ある空間を実現しています。 スキップフロアには空間的な広がりや繋がりを得られる一方で、構造的に不利になってしまう側面もあります。柱・梁を通常よりも一回り大きくすることでがっちりしたフレームを作りつつ、構造的に一番脆くなるスキップフロアのスッキプ面に上下階耐力壁をいれ補強しています。また、1階はちいさな部屋、2階は大きな部屋を配置することで1階の壁量が増えるようにしています。中2階の家族室は縁側を介して庭を取り込むことで明るく開放的な部屋になっています。また、室内の左官仕上げはお施主さんのセルフビルドによるもので、家族みんなで家をつくる貴重な体験になったようです。 ※1:芦原義信さんが設計したソニービル(銀座)は、はなびら状にスキップさせた空間構成で有名ですが、スキップの高さは階高3600を4等分した900mmです。 【街並み】基礎の立上がり(コンクリート打放し)を近隣の擁壁高さと揃える事で街並みに馴染むよう配慮しています。また、ガラス作家でもある施主の作業スペースの耐熱要求を満たす上でも室内腰壁までRC造である事が優位に働いています。【家族構成】建築家とガラス作家の夫妻にちいさなお子さんが2人の4人家族。